Future Care Lab in Japan通信 Vol.8

この連載ではFuture Care Lab in Japan(以下FCL)という研究所について、何を目指し、どんなことをしているのかをご紹介していきます。
第8回目は介護テクノロジー『腰痛可視化ツール』
“腰痛可視化ツール”が介護現場で活用できるかどうか、2024年10月からそんぽの家葛西にて検証を行っています。
ー製品の特長ー
腰痛可視化ツールの正式名称は「Malpos Major®(マルポスメジャー)」といいます。(詳しくはこちらから → https://jcls-mis.jp/#malposmajor)
腰に「Malpos Major®(マルポスメジャー)」を装着することで、移乗介護時に生じる介護スタッフの腰痛リスクおよび、ストレスを測定することができます。
装着した時の様子
測定データ
ー現場実証にあたってー
「Malpos Major®(マルポスメジャー)」は下記の困りごとに対して効果的ではないかと考え、現場での実証を行いました。
① 腰痛が原因での休職や退職、業務効率の悪化に繋がっている。
② 腰痛が発生する可能性が高い介助の時間帯や、頻度・場所が特定しにくい。
③リフト等の福祉用具を導入することで腰痛予防に効果があることは理解していても、使用の指導や継続ができておらず、中々活用しきれていない。
現場実証に先立ちFCLにて実際に使用し、測定機器が正しく作動すること、測定したデータが記録されているか、また測定機器の操作が難しくないかなどの確認をしました。
その後、実証協力施設(フラグシップ施設)である「そんぽの家 葛西」にて、第1ステップとして腰痛リスクの可視化(上記①②)について、介護職員の業務中に使用していただき機器の精度や操作方法について、課題や運用を確認することができました。
ー現場実証を通じてー
実証に参加したそんぽの家 葛西からは、『援助している姿勢は自分では確認できないので可視化できるのは便利かも』『さまざまな経験年数の職員がいる中、データが取れることで負荷がかかりやすい援助を見極められそう』『装着時の設定が自動でできると便利』と、前向きなコメントや、『腰ベルトを付けると動きづらい』『トイレなどで装着しなおした後の再設定が面倒』など、測定に関する課題のご意見もいただくことができました。
今回の実証では、測定機器を使うことで腰痛負担を可視化することができたことに加え、課題感もしっかり見えてきました。次のステップ(上記③)として、抽出された腰痛リスクに対する対策や検討を行ってみることで、実際に腰痛リスクに変化(低減)があらわれるかについて、継続して確認を進めていく予定としています。
そんぽの家 葛西では、職員の皆さんが実証に関心をもって取り組んでいただけているので、スムーズに実証を進めることができました。引き続き実証のご協力をいただくと共に、皆さんの腰痛負担が少しでも減らせられるように、FCLも一緒に取り組んでいければと思います。

そんぽの家 葛西の皆さま
次回は『在宅見守りツール』についてご紹介します。

