SOMPOケアの挑戦「介護の未来を変えていく」Vol.5/ラヴィーレ綾瀬
SOMPOケアは、日本の介護における課題のひとつでもある「介護の担い手不足」に真摯に向き合い、将来介護の担い手が不足しても高齢者の生活を支えていけるように、データ・テクノロジーの導入・活用による介護現場の新しい常識、すなわち「未来の介護」の創造に取り組んでいます。
この「未来の介護」の取組みを通じ、ご利用者さまには根拠に基づくより良い介護を、職員には、人にしかできない介護に注力する働き方の実現によって今まで以上のやりがいと誇りを。さらに、この流れを介護業界全体へ波及させていくことで、私たちは「日本の介護を変える。そして、日本の未来を創る。」の実現に取り組んでいます!
※当社の取組む「未来の介護」の情報を紹介するウェブサイト『未来の介護MAGAZINE』は、コチラ!
ラヴィーレ綾瀬の基本情報
ご利用者さま:55名 / 平均介護度:2.4
職員数:取組み前 19名(社員15名/パート4名)
取組み後 18名(社員14名/パート4名)
(2024年10月11日時点)
ラヴィーレ綾瀬は、2016年7月にオープンした介護付きホームです。開設から8年が経ち、ホームの良い文化、改善したほうがよりよくなる文化などが、だんだんと鮮明になってきていました。そんなラヴィーレ綾瀬で、2023年10月13日から未来の介護の取り組みが開始されました。
SOMPOケアの挑戦「介護の未来を変えていく」Vol.5は、ラヴィーレ綾瀬での「一律援助から個別援助への変革」の取組みをご紹介します。
見えてきていた主な課題
一律援助が浸透していた
10時にご利用者さま皆さまにお茶を提供することや、日々の排便チェックや入浴前のバイタルサインチェックなどを、ご利用者さま全員に対してルーティーン化して行っていました。「必ずやるもの」として、ホームに浸透していた業務だったそうです。
夜間の定時排泄介助
夜間、一律で定時おむつ交換を実施。この援助によって安眠を妨げられるご利用者さまもいらっしゃいました。
取組み前の準備!
まずは、未来の介護推進がうまくいっているホームを見学!
ケアコンダクターの加藤さんを中心に、複数のスタッフでそんぽの家大和、ラヴィーレ淵野辺に見学に行くことに。食事提供のオペレーションやQライン※の組み立て方、使用する機械浴など、自分のホームで実際に使用したら・・との想定をしながら見学したそうです。
※Qライン(クオリティライン):サービス品質向上の取組みを実施するためのライン
ホーム長から、未来の介護について方針の発信
面談を通して、スタッフ一人ひとりに説明を実施。未来の介護の取組みでは、セクションごとに今までの業務範囲を見直し、業務の増減があることに対して、繰り返しての説明、協議が必要だったケースも多々、あったそうです。しかし、ラヴィーレ綾瀬で働くスタッフさんは、前向きで協力的な方が多かったので、あまり時間をかけずに同意を得ることができ、同じ方向を向くことができたそうです!
取組み開始!
アクシスト※の稼働
ケアコンダクターの加藤さん、副ホーム長の大矢さんが中心となり、推進しました。
加藤さんを中心としたケアセクション全体で、援助内容や流れ、ラインを改めて組み立て直し、その情報を大矢さんがアクシストへ更新入力。
この流れを通して、スタッフ全員が共通して業務への意識向上、自分事化することと、アクシストへの理解を深めることを第一の目標としました。そして、援助量と人員配置の見える化を第二の目標に設定し、取り組みました。
※アクシスト:ご利用者さまの援助スケジュールを円滑に実行するための業務シミュレーター
夜間の排泄ケアの見直し
ホーム内に「排泄委員会」を設立し、未来の介護の取組みと同時並行で推進しました。おむつ業者からの研修会開催や排泄状況の検討会を実施した結果、援助が必要なご利用者さま、援助不要なご利用者さまを明確にし、アクシストに落とし込み、適正な援助ができるよう調整を図りました。
ラインワークスアプリの活用
より迅速に、タイムリーに、スタッフ全員が情報共有ができるラインワークスを活用することで、朝の申し送り、夕方の申し送りをやめることに挑戦しました。
こう改善しました
アクシストの稼働により一律援助から個別援助へ!
①アクシストによる業務の見える化、組み換えをすることにより、ケア業務の一日当たりのライン数が10本から8本に調整でき、Qラインを2本、確保することができたたそうです。
②Qタイム※を有効活用することで、ご利用者さまのやりたいこと実現・スタッフ自身のスキルアップにつながりました。のちほどホーム長へのインタビューを通して、ご紹介します。
③業務の効率化をはかり、排便チェック、バイタルサインチェックはお声かけでの確認に。
「本来、ご自宅での生活を送るうえでは毎回、毎日、そこまで確認しない。そして、ラヴィーレ綾瀬は病院ではない。毎日ご利用者さまと接しているスタッフの観察眼、感覚を大事にしよう」と、スタッフ全員の認識を統一。運営懇談会でご家族さまへの説明でも同意を得て、必要時のみの援助に変更。一律援助を廃止することができました。現在まで、排せつや入浴に関する事故や苦情はないとのこと!
※Qタイム(クオリティタイム):サービス品質向上の取組みを実施し、ご利用者さまの豊かな生活を創造する時間
アクシストを活用し、サービスの質向上へ!
夜間の排泄ケアの見直しを通じて、ご利用者さまの睡眠の質向上とシフトの改善へ!
排泄委員会での深い検討とアクシストの連動により、排泄援助にかかる時間を、2024年2月と比較し、2024年10月時点で約1,500分/週、削減することに成功しました。
この結果、夜間の時間捻出が可能となり、夜勤の休憩時間を1時間延ばすことができました!
before:17:00~翌10:00(うち休憩 1 時間)
after :16:00~翌10:00(うち休憩 2 時間)
勤務時間は1時間延びましたが、休憩を2時間にすることで、夜勤の全体的な負担軽減になっている、との声が多数あがっているそうです。
ラインワークスの活用を通して、情報共有力の強化へ!
ラインワークスの活用により、朝礼、夕礼を実施せずに情報を共有することができるように。ご利用者さまの体調やご様子の変化、ホーム全体予定やホーム長からの業務伝達、各種委員会の情報発信などで活用されています。
各セクションのスタッフインタビュー!
ケアコンダクター 加藤麻衣(かとうまい)さん
特に意識したのが、ホーム長や副ホーム長、私だけで取り組むのではなく、開始時点からスタッフ全体で進めたいと思い、その通りに実施したことです。新しい取組みは、やらされている感ではなく、みんなが自分事として取り組んでいく必要があると思ったんです。
今ではある程度Qライン、Qタイムが活用できていますが、もっともっと有効活用できると思っています。今後も、一部のスタッフ、ではなく、ホームのみんな一丸となって推進していきたいと考えています!
副ホーム長 大矢秀樹(おおやひでき)さん
アクシスト導入の際に意識したことは、業務の「波」を見える化し、把握することでした。集中とゆとりの配分をバランスよく設定させ、今までの慣習で行っていた援助を再考しました。例えば、午前中に集中していた入浴援助を午後にも配分させることにより、スタッフにかかる負担を軽減、分散させることができたと思います。
キッチンスタッフ 加藤昭江(かとうあきえ)さん
未来の介護の取組みを通して、キッチン業務は劇的に改善しました!
食事の提供順を2部制から3部制に変更することにより、準備と提供、下膳、洗いといったそれぞれの業務が効率化され、ムダ・ムラのある時間がカットされました。これにより、毎日約30分の残業は当たり前だったのが、ほぼ、残業をしない勤務となりました!
看護スタッフ 萬谷未来(まんたにみき)さん
ひとこと、働き方と視野が変わりました。
新たに、ダイニングでの配薬をケアスタッフから看護師がおこなうよう変更されたことにより、よりご利用者さまと接する時間が増え、今まで以上にご入居者さまの変化に気づくことができるようになったと感じています。また、マンツーマンで食事介助を行っていた以前より、配薬をするためダイニング全体を見ることができるようになったので、広い視野で全体を見る、視野を広げるきっかけにつながりました。
点眼についても、ケアスタッフから看護師が援助するように変わったおかげで、ご利用者さまのお部屋を訪問する機会が増え、援助だけではなく普段の生活シーン、室温や家具などの配置、部屋の中にあるリスクに気づける機会が増えました。合わせて、健康管理室に行くことを遠慮してされていたご利用者さまの相談も、お聞きすることができるようになったとも思います。
最初は業務量が増える、との思いもありましたが(笑)、今ではご利用者さまの健康を守っていける、私たちの安心にもつながっていると思っています。
※未来の介護の取組みインタビューの延長戦で、
「SOMPOケアに実現してほしいことがあるんです!スーパーで買い物をする際に、買い物かごをそのまま置くと、自動で合計金額が分かる機器、ありますよね。この技術を用いて、ご利用者さまの排便チェックに流用できるトイレを開発してほしい、と思っているんです。高齢者にとって、お食事を摂ることと同じくらい、排泄することも大切なんです!ぜひ検討してもらえると嬉しいです!」
と、目を輝かせて提案したいことを話してくれました!
ケアマネジャー 竹内貴志(たけうちたかし)さん
正直、異動してきてからあまり月日は経っていないのですが、私の経験上、施設のケアプランはベースが似通ってしまいがちになると思っていて、ラヴィーレ綾瀬でもそのようなケアプランだな、と思っていました。未来の介護に取り組んできた現在では、徐々に個別性が出てきたケアプランになってきていると思います。今後も、よりカスタムメイドケアに磨きをかけていきたいと思います。
ホーム長 原竹陽太郎(はらたけようたろう)さん
Qタイムを利用して、自己研鑽として研修に参加するスタッフを見たり、ご利用者さまとスタッフが某有名レストランに焼き肉を食べに行く姿などを見ると、本当に楽しそうな様子が伝わってきます。Qタイムを利用したプライベートサービスの提供では、このご利用者さまには何が良いか、考えたり話し合ったりと、積極的にご利用者さまのために、と行動するスタッフが増えたと思います。こういったスタッフの姿を見ると「取組みを推進してきてよかった」と心から思えます!
今後の目標をホーム長に伺いました!
現在、ご利用者さまのやりたいこと実現や、スタッフ自身のスキルアップのためにQラインを稼働させていますが、一方で、Qラインを稼働、継続させるということは、少数精鋭で直接介護サービスを提供するということです。ホームで働くスタッフ全員がPROM(プロム)※1やHECT(ヘクト)※2などを今一度学び、理解を深める「スキルアップ」が必要だと思っています。
ラヴィーレ綾瀬は、セクション間の連携・協力体制が素晴らしいホームです。今後も一丸となって取り組んでいきたいと思います!
※1 PROM(プロム):ご利用者さまのお困りごとに対して、薬や心身状態、生活環境など様々な観点で分析し、解決するためのSOMPOケア独自の手法
※2 HECT(ヘクト)アプローチ:認知症のある方が日常生活でうまくできないことで生じる行動面の困りごとや、強い不安など心理的な困りごと(BPSD)などの要因を明確化・特定させ、それを解決する方法を見つけ出すSOMPOケア独自の手法
ラヴィーレ綾瀬の日常「ホームだより」もぜひご覧ください!
https://www.sompocare.com/service/home/kaigo/H000115/message/