ケアエール de 実践! 在宅生活のチームケア ~吉祥寺デイサービス~
当社では、コミュニケーションアプリ「ケアエール」、介護事業者向けWEBシステム「ケアエールPRO」を通じて、ケアが必要な「ご本人」と「関わる全ての方」が絆を深めることで、在宅生活を無理なく続けるチームケアの実現を目指しています。
中でもデイサービスでは、ケアエールPROによってケアの記録をデジタル化し、連絡ノートとシームレスに連携させることで、ご家族や多職種との円滑なチームケアと業務の効率化を同時に実現することにチャレンジしています。
※ケアエール/ケアエールPRO(以下、ケアエール)についての詳細は文末をご覧ください。
この連載では、ケアエールの活用事例や、起こった変化についてご紹介しています。
第3回目は「SOMPOケア 吉祥寺デイサービス(東京都)」の管理者 小野寺さんと、機能訓練士の横山さんにお話を伺いました。
SOMPOケア 吉祥寺デイサービスって、どんな事業所?
小野寺さん:
吉祥寺は都市と自然が調和する活気ある街で、吉祥寺にお住いのご利用者さまへ、明るく元気なスタッフが様々なイベントを提供する憩いの場となっている事業所です。スタッフの年齢層が20代から60代まで幅広く、多様な経験と知識の共有ができるのも特徴です。
デイサービス・スタッフが待ちに待った「デジタル化」!
小野寺さん:
私が着任したのは1年前の2023年4月です。最初にスタッフ全員と面談をしたときに複数人に言われたのが「デイサービスはいつになったらデジタル化するのか?」ということでした。
当時、デイサービスは本当にアナログの世界でした・・・。実施記録は各自が手書きしたものを、また手書きで1枚にまとめていました。さらに、それをコピーしファイリングする作業にも毎日時間がかかっていました。特にスマホを多用する若い世代のスタッフにとっては「介護は時代遅れ」のイメージが強かったです。何とか効率的に情報をまとめられる仕組みはないかと模索していたところ、“WCAデイ”でケアエールPRO導入の話が飛び込んできたのです。最高のタイミングでした!
導入後は、スタッフが使いこなせるようになるのは早かったです。1か月くらいで皆さん使いこなしていました。スタッフだけでなく、ご家族さまにも従来の紙の連絡帳からケアエールでのやりとりに慣れていただく期間が必要でした。結果3か月ほどかかりましたが、手書きの記録をスパッとやめることができました。
吉祥寺デイサービスでは、PC3台、タブレット2台でケアエールPROを使っています。使い分けは以下の通りです。
ケアエールPROの導入にあたり特に工夫した点の1つ目は、ノートPCを大型TVへつないで「本日のご利用者さま一覧」画面を表示し、誰もが本日実施するサービスの進捗をリアルタイムで見られるようにしたこと。施設で使われていなかった大型TVを見つけて、「これは使えるのでは?」ともらってきました。
2つ目は、音声入力の活用です。最近のiPadは音声認識・変換機能が非常に優れているので、音声入力の活用をスタッフに勧めました。まず、若いスタッフが活用方法を理解し、デジタル機器が苦手なスタッフはその方法を見て学んでいく形で浸透していきました。幅広い年齢層のスタッフがお互いに学びあい、助け合うことで、スムーズに導入できた気がします。今では、タイピングが早い人はPCを利用し、音声入力をする人はiPadを利用するなど、スタッフが自分の好みに応じて使い分けをしています。
デイサービスの中央に大型TVとノートPC、iPadを配置。iPadは音声入力でスピードアップ。
横山さん:
音声入力はご利用者さまに聞こえてしまいそうなことが気になる点でしたが、隣の人に聞こえないくらいの、かなり小さな声でも十分認識してくれるので、安心して活用できました。また、お身体の状態などセンシティブな情報については別室で入力するなど注意しています。
小野寺さん:
限られた数のiPadを使ってケアエールでご家族さまに共有するための写真や動画を撮影する工夫として、まずご利用者さまの楽しそうな表情が見られるレクリエーションの時に集中して、ご利用者さま全員をまんべんなく撮影するようにしています。
また、機能訓練がある方やご家族さまからのリクエストがあった方はあらかじめ把握しておき、必要な場面を個別に撮影します。
iPadをフロア中央に設置し、どんな場面でもすぐにスタッフが手に取れるようにしていることで、その他の場面でも、ご利用者さまの「良い表情」が見られたときは、都度スタッフがiPadをパッと手に取って撮影できます。
横山さん:
デジタル化して記録がとても楽になりました。これまで自分の名前だけでも毎日20人分手書きしていたところが、ログインするだけで済むようになり便利になりました!
小野寺さん:
ご家族さまの中には、手書きの連絡帳が温かみもあって好きという方もいらっしゃると思いますが、私は文字を書くのが苦手なので、スムーズに記録ができるようになっただけでなく、読みやすさが向上したような気がします。
ケアエールPROの導入で、これまで遅れをとっていたデイサービスのデジタル化が進んだ結果、業務効率化だけでなく、次にご紹介するエピソードのような、ご家族さまとのコミュニケーションにも非常に良い効果が出ています。
【実践エピソード①】ご家族さまと足並みを揃えてADL向上を実現
横山さん:
94歳のOさまは大腿骨骨折で入院中に、廃用症候群がすすみ車いす生活になりました。食事も一口しか召し上がれない状態で、医師からは「回復は難しいかもしれない」と言われていましたが、回復を強く願われるご家族さまの勧めもあり、退院後、週3回吉祥寺デイサービスに通われるようになりました。
たくさんのスタッフがかかわる中で、Oさまのお食事の量は徐々に増えてきましたが、機能訓練指導員の目線では、ご家族さまの期待される目標や、Oさまの自己認識とOさまのADLの乖離が大きいことを心配していました。
ご家族さまが「早く歩けるように戻ってほしい」という気持ちになることは当然ですし、想いの強さ故に、ご家庭でご本人を頑張らせすぎてしまうことがありがちです。そこでケアエールPROを使い、デイサービスにいらっしゃるときのOさまの写真や動画をご家族に共有することで、OさまのADLの現状を把握していただき「これ以上やるとリスクが高まる」という限界値をしっかりご理解いただくことに努めました。写真や動画を共有できるケアエールPROがなく、文字でしか伝えることができない状況では、ご理解いただくことが難しかったと思います。
こうして、ご家族さまとデイサービスで足並みを揃えながら、適切にリハビリを進めていくことができ、Oさまは半月ほどで車いすからの立ち上がり訓練を開始。1か月後には平行棒訓練ができるまでADLが向上されました。撮影した歩行訓練の様子をご本人にお見せすると「膝が曲がってるわねぇ」と、Oさまご自身も訓練に納得されているようでした。目標の「歩行器で歩けるようになる」ところまで、あともう一息です。
当初は「帰らせてほしい」と毎日のようにおっしゃっていたOさまも、今ではすっかりデイサービスに慣れ、他のご利用者さまとも楽しくおしゃべりされるようになりました。
【実践エピソード②】遠く&近くのご家族との暖かいつながりが広がる
小野寺さん:
Tさまにはお子さまがお二人いらっしゃいます。長女ご家族さまは海外にお住いで、現在は長男ご家族さまと二世帯同居されています。Tさまは認知機能の低下がみられ、ご自宅で一日過ごされるのが難しくなってきたため、吉祥寺デイサービスをご利用開始されました。ところがご利用開始直前に、それまでTさまをサポートしておられた奥さまがご逝去されてしまいました。
奥さまのご葬儀参列のためご長女さまが帰国された際には、Tさまの認知機能低下が進んでいるように感じられ、奥さまのご逝去で生活やお気持ちにも影響が出るのではないかと心配されていました。
そこで、ご長男さま・ご長女さまにケアエールを導入いただいたところ、ご家族の中で声をかけてくださり、学生のお孫さまたちもケアエールに参加してくださいました。今ではTさまのルームは国内外7人のご家族さまとつながっています。レクリエーションの様子をお送りすると、お子さまやお孫さまたちから暖かいコメントが届くようになりました。
遠方のご家族も、同居のご家族も、ケアエールでTさまのデイサービスで過ごす元気な様子が見られて嬉しく、安心だとおっしゃってくださいます。こうしたご家族の声はデイサービスのスタッフにとっても非常にうれしいことで、やる気に繋がります。
先日は海外のご長女さまから、「母が健在ならば、今日は60回目の結婚記念日だと父に伝えてほしい」というメッセージと結婚指輪の写真がケアエールで届きました。もちろんスタッフからTさまには丁寧にそのことをお伝えしました。ケアエールを通じて、Tさまとご家族さまの関わりが深まり、今まで以上に「絆」を強めているように感じます。「大切な人の日常をかけがえのない日々に」というケアエールのコンセプトを思い出して感動したエピソードです。
ケアエール導入による変化
小野寺さん:
まずは、ようやくデイサービスのデジタル化が進みはじめ、業務効率化できたことが大きいです。冒頭にお話しした業務記録などが手書きでなくなったことや印刷時間が減ったこと以外にも、例えばこんな効果もありました。
とても心配性のご家族さまがおられ、日中、毎日のようにお電話をかけてこられていました。しかしケアエールを導入いただいてからは、写真や動画でご利用者さまの様子をお伝えでき、ご家族さまもお電話ではなくケアエールでコメントくださるようになったので、緊急時以外の電話連絡は一切なくなりました。一方デイサービスのスタッフは、即時対応が求められる電話から、ケアエールにご連絡方法が変わったことで、業務が落ち着いたタイミングでお返事したり、内容によってはスタンプを使って気軽にお返事できるようになりました。なお、この心配性のご家族さまからもケアエールを使ったコミュニケーションはご好評いただいていますので、今後は吉祥寺デイサービスのご利用を増やすご提案も検討しています。
また、ADLや日々のご利用者さまの様子を写真や動画で共有できることで、ご家族さまとコミュニケーションが取りやすくなりました。ご家族さまとつながることで、デイサービス内での様子に透明性が生まれ、安心感をもっていただくことができるようになったことも大きな変化だと思います。
今後に向けて
小野寺さん:
ご利用者さま、ご家族さまに喜んでいただけることが吉祥寺デイサービス・スタッフの願いです。ご家族さまや関係者の方々に、デイサービスでご利用者さまが見せてくださる笑顔をお届けし、そしてケアエールがご本人さま・ご家族さまの絆もつなぐことになれば嬉しいですね。次はケアマネジャーにもケアエールを知っていただくために活動していこうと思っています。
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ケアエール de 実践! 在宅生活のチームケア~盛岡本町デイサービス~ | SOMPOケア WATCH!|介護現場の真実を伝える社内報 (sompocarewatch.com)
ケアエール de 実践!在宅生活のチームケア ~杉戸デイサービス~ | SOMPOケア WATCH!|介護現場の真実を伝える社内報 (sompocarewatch.com)
ケアエール:https://careyell.com/
ケアが必要な要介護者の体調、日常の様子や気持ちをご自身、ご家族やケアマネジャーなどケアに関わる方々と、写真や動画を添えて無理なく共有することができる無料のモバイルアプリ。
ケアエールPRO:https://careyell.com/pro
記録業務をデジタル化し、ご利用者一人ひとりのリアルな今を写真・動画を添えて共有・蓄積できる介護事業者向けWEBシステム。