介護スタッフ 内山尚資さんが描く「パパは介護士」(ペンネーム:内山ロボ)
「ぼくのパパは、老人ホームの介護士です」という言葉とともに
男の子が登場するシーンから、『パパは介護士』の物語は、はじまります。
「けど、パパ、介護士ってどんな仕事なの?」
父親の仕事について興味を持った男の子。子どもらしい素朴な問いを投げかけます。
介護士の仕事について、男の子とその父親との対話から、ストーリーは紡がれていきます。
この物語をつくり、イラストを描いたのは、そんぽの家 上北台で介護スタッフとして勤務している内山尚資さん。少年時代から絵を描くことが大好きで、漫画家になることが夢だったそうです。この物語が誕生した経緯、作品への想いなどを内山さんに聞いてみました。
まずは、内山さんの作品「パパは介護士」全編をぜひご覧ください。
この作品が完成するまで・・・
SOMPOケアのホームで、介護スタッフとして約14年の経験を持つ内山さん。これまでにたくさんのご入居者さまと出会い、生活のなかで一緒に喜びを共有し、時にはその方の苦悩にも寄り添いながらケアをしてきました。そして、ご入居者さまとの最期のお別れもありました。このような経験を通して、内山さんは「介護という世界を描いてみたい」「介護の仕事について知りたいと思っている人のために、できるだけ現場の、生の声を届けたい」といった熱い想いが湧き上がってきたそうです。
まだ幼かった息子さんと一緒に、よく読んでいた“絵本”というかたちにひらめきを得て、約2年ほど前に作品が完成。実際にこの物語を読んだ内山さんの息子さんからは、「いいねー。パパ上手い!」といううれしい感想をもらえたそうです。
ひとりでも多くの子どもたちがこの作品に触れ、介護の仕事を知るきっかけになってほしいですね。
内山さんが介護士という道を選んだ理由
「私は、約20年前に統合失調症を発症しました。自分にはどんな仕事ができるだろうかといった相談支援を受けた時に、そのサポートを担っている『精神保健福祉士』という職種があることをその時はじめて知りました。同時に、『社会福祉士』『介護福祉士』という、いわゆる『三福祉士』と呼ばれる資格を知り、「福祉」に対して興味をもつようになりました。「福祉」とは、世の中の人々を幸せにすることです。自分も福祉に関わる仕事に就きたいと思い、働きながら資格が取得できる介護福祉士の道を選びました。」
本文のある一節で、お父さんが息子に語りかけます。
「お年寄りはね、今まで過ごしてきた普通の生活を今も、送りたいんだよ」
「だからパパたち介護士の仕事は、お客様に今までの普通の生活をおくってもらうことが“最大の目標”なんだよ!」
そして、いつもと変わらず、思い思いのひとときを過ごすお年寄りの姿が、いきいきと描かれています。
作中に登場する大樹。内山さん渾身の1枚です。
「人生を大樹に滲む色に例え、また新しい生命に繋がるという想いを込めました」と内山さん。力強く、そして優しい、生命力あふれる大樹が描かれています。
「14年前に、絵手紙サークルを立ち上げました。そのサークルに、他に参加者がいない日でも、必ず毎回参加してくれたご入居者さまがいらっしゃいました。もうお亡くなりになったのですが、その方との思い出を今、新たな作品として描いてます。もうすぐ完成予定です」と内山さんは教えてくれました。
次回作は、どんなストーリーなのでしょうか。楽しみにしています!