SOMPOケアの挑戦「介護の未来を変えていく」Vol.6/ラヴィーレ二子玉川
SOMPOケアは、日本の介護における課題のひとつでもある「介護の担い手不足」に真摯に向き合い、将来介護の担い手が不足しても高齢者の生活を支えていけるように、データ・テクノロジーの導入・活用による介護現場の新しい常識、すなわち「未来の介護」の創造に取り組んでいます。
この「未来の介護」の取組みを通じ、ご利用者さまには根拠に基づくより良い介護を、職員には、人にしかできない介護に注力する働き方の実現によって今まで以上のやりがいと誇りを。さらに、この流れを介護業界全体へ波及させていくことで、私たちは「日本の介護を変える。そして、日本の未来を創る。」の実現に取り組んでいます!
※当社の取組む「未来の介護」の情報を紹介するウェブサイト『未来の介護MAGAZINE』は、コチラ!
SOMPOケア ラヴィーレ二子玉川の基本情報
ご利用者さま数:52名 / 平均介護度:2.4
ケアスタッフ数:17名(社員14名/パート3名)
(2024年11月末時点)
ラヴィーレ二子玉川は、2015年3月にオープンした介護付きホームです。
2023年4月から未来の介護の取組みを開始しましたが、取組み前は恒常的な人員不足(1~2名)が大きな課題でした。
SOMPOケアの挑戦「介護の未来を変えていく」Vol.6は、ラヴィーレ二子玉川での未来の介護への取組みによる「好循環サイクルを実現」についてご紹介します。
取組=成功のポイント
ホームの皆さんや未来の介護推進部担当者の話から、ラヴィーレ二子玉川の取組ポイントが浮かび上がってきました。以下にそのポイントをご紹介します!
管理職クラスが一枚岩
2023年4月、異動により管理職クラスが新体制となりました。同時に「未来の介護」の取組みがスタート。このタイミングで、ホーム長はじめ、副ホーム長、ケアコンダクターの3者が集まり、未来の介護への取組方針について話し合いを行いました。その結果、取組みの方向性や目指すべき姿について、3者の考え方が完全一致。これにより管理職クラスが一枚岩となり、自然に3者の役割分担が決まりました。
◆ホーム長→全職員のマネジメント
◆副ホーム長→体制構築とハード面(システム・データなど)の導入推進
◆ケアコンダクター→現場のケアスタッフへの周知とフォロー
チームワークがよく、役割分担が明確
ケアスタッフへの丁寧な説明
◆まず現場に最も近いケアコンダクターが、各ケアスタッフへ未来の介護の意義や効果をわかりやすく説明
◆その後、ホーム長が面談や1on1ミーティングで丁寧に説明
◆さらに、必要に応じて、個性や相性で副ホーム長やケアコンダクターが分担してフォロー
全スタッフが納得感を持ち、トップダウンではない現場中心の取組みとなった
思いついた対策は何でもすぐに実行
記録・確認の紙ベース廃止、クレンリネス、パッド総入替、物品個人購入へ統一、アクティビティ時間変更、カンファレンス用紙変更、インカム廃止、夜勤体制の見直し、薬ダブルチェック見直し、入浴前バイタル見直し、入歯確認見直し、おやつ配膳見直し、水分チェック見直し、ラインワークス活用開始、居室担当開始、頻コール委員会開始、クリーンライン開始、アクシスト見直し、egaku全スタッフ活用・アラート発信、食事時間変更、服薬自立化、休暇取得推進 ほか
ラヴィーレ二子玉川の取組みの特徴として、上記の通り「思いついたものは何でもすぐに実行する」ことが挙げられます。これら全てが定着・成功している訳ではありませんが、この中で特に大きな成果をあげているものがあります。
頻コール委員会
新卒入社2年目のケアスタッフが中心となり、ご入居者さまのご要望の丁寧な聞き取りを実施。これをもとに委員会(月に2回実施)で実態・事実確認→対策立案→対策実施→評価→対策の見直しのサイクルを7か月継続。
取組前 2023年7月 2343回 /月
⇒取組後(7か月経過時点)2024年1月668回/月
※2024年11月は874回/月で、この取組みと効果は定着
egaku全スタッフ活用
前副ホーム長の堀田さんを中心に、全スタッフが自らegakuデータを確認・活用できるようにした。定着にむけたステップは・・・
第一フェーズ 23年7月~
出勤時に入居者アラートを全員が確認。egakuを見ることを習慣づけた
第二フェーズ 24年7月~
カスタムカンファレンスの用紙を変更。スタッフ自らが、egakuでデータを確認して、用紙に転記する形式とした
全スタッフがegakuの直接操作やデータ収集を行うことで、感覚だけでなく、数字の根拠をもって、ケアについて考えるようになった
若手スタッフも主体的に取り組む
Qライン※ができたことで、それまで目の前の業務だけで精一杯だった若手スタッフに余裕ができ、しっかりと考える時間ができました。
これにより当事者意識をもって各課題に取組み、若手スタッフたちも達成感と成長を実感できました。
※Qライン(クオリティライン):サービス品質向上の取組みを実施するためのライン
Qラインを活用して、ご近所にミカン狩りに出かけました!
定着に向けた工夫
◆ご入居者さまやケアスタッフも入れ替わるので、双方とも最初(入居時・入社時)にしっかりと説明
◆ケアスタッフへの定期的なフォロー・リマインド(カンファレンスや面談など)
◆異動など体制変更にも対応できるように、取組みの中心となれる後継者の育成
好循環サイクルへ
「未来の介護」をホーム全体で取り組んだ結果、、以下の効果も得ることができました。
残業時間減少、休暇取得率アップ!
◆残業時間(ケアスタッフ)
取組み前(2023年4月) 1人平均 6.18時間/月
↓
取組み後(2024年4月) 1人平均 2.73時間/月
残業時間が大幅に減少!
◆休暇取得(ケアスタッフ)
取組み前(2023年4月) 1人平均 0.85日/月
↓
取組み後(2024年4月) 1人平均 1.40日/月
離職数も減少(ケアスタッフ)
取組み前 2023年度 3名
↓
取組み後 2024年度 1名 (11月末時点)
残業の減少や休暇が取得しやすくなったことで、ケアスタッフが定着!
入居が右肩上がりに
取組み前 2023年4月末 44名/54名中 入居率81.4%
↓
取組み後 2024年11月末 52名/54名中 入居率96.2%
新規のご入居者さま・ご家族さまから「他社の施設も複数見学したけど、ここが一番雰囲気よかったから決めたわ」といううれしいお言葉をいただきました!
皆さんにインタビュー
ケアコンダクター(介護プライドマイスター) 赤井 祥真(あかい しょうま)さん
未来の介護に取り組む前は、「休憩もとれず、みんながバタバタしている」「ルールに縛られ、そのルールを変えられない」そんなホームでした。
未来の介護の取組みの中での私の役割は「ケアスタッフと事務所の橋渡し役」でした。また正解が一つではない中で、「何が一番正解に近いのかを現場目線で考える」のも私の役割で、思いついた対策をまずは何でもやってみるというスタンスで、いろいろなことに取り組みました。
まだみんなが100%満足しているわけではないので、今後は「全員が良いと思えるホーム」にしていきたいと思います。
ケアスタッフ(新卒3年目) 大竹 諒哉(おおたけ りょうや)さん
未来の介護に取り組む前は、忙しすぎて課題を感じても、それを改善できる(考える)時間がありませんでした。取組み後は時間ができ、課題に手が付けられるようになりました。
さらに目先のことだけでなく、長い目で物事を見られるようになり、自分が成長していると実感できました。
ケアスタッフ(新卒3年目) 川面 舞衣(かわつら まい)さん
未来の介護取組み前の入社1年目は、仕事を「こなす」だけで精一杯でしたが、egakuデータを自分でみることで、担当外のご入居者さまへの理解も深まり、当事者意識も芽生えていきました。介護の仕事は属人的な印象でしたが、データやテクノロジーの活用でケア品質が均一化できることを実感しました。
前副ホーム長(24年9月まで。現そんぽの家S成城西ホーム長)堀田 真弘(ほった まさひろ)さん
未来の介護の取組み開始と同時期に、ラヴィーレ二子玉川に異動してきました。その当時は休憩時間が取れない、残業が当たり前でスタッフには「諦め感」のようなものが蔓延していました。
まず注力したのは、「ラインの適正化」でした。またキーマン(ケアコンダクター)を指名して同じ温度感で、スピード感をもって取組むことにも注力しました。そういう意味ではタイミングとメンバーに恵まれたと思います。私は、未来の介護とは適正な「モニタリング」と「アセスメント」によって、自立支援を実現するものと解釈しています。
ラヴィーレ二子玉川には、これからもこの好循環サイクルを維持していって欲しいと期待しています。
現副ホーム長(24年10月から) 小秋元 拓(こあきもと たく)さん
私は今年の10月に着任しましたが、最初の印象は、「ご入居者さまが明るく、自由な雰囲気がある」ということでした。またスタッフ間では、LINEワークスの活用がすごく進んでおり、インカムの廃止と相まって情報共有の「早さ」と「広がり」を感じました。
未来の介護は三方良し(ご入居者さま・職員・未来社会)を実現するものだと思いますので、今の状況を維持するだけでなく、もっと広げていきたいと思っています。
ホーム長 近藤 裕子(こんどう ゆうこ)さん
未来の介護取組み開始時に、副ホーム長・ケアコンダクターと何度か話し合いを行い、意気投合してスタートできたのが、大きかったと思います。また若いスタッフがリーダーになりたがらない傾向でしたので、1on1ミーティングでしっかりとしたミッションを与えて、取組みに引き込むようにしました。
取組みの前後で変わったことは、ホーム全体の雰囲気が明るく、穏やかになりました。
◆ご入居者さまは、ラウンジに出てこられる方が増え、活気がでてきました。
◆スタッフがゆとりをもって援助するようになり、ご入居者さまへ話しかけをするシーンも増えました。
◆スタッフの当事者意識が高くなり、一人ひとりが各種課題を自分事として捉えるようになりました。
今後の目標は、「Qラインのブラッシュアップ」です。具体的には、
◆ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の見直し
◆ポリファーマシー(多剤併用問題)への取組み強化 です。
取材にご協力いただいたラヴィーレ二子玉川の皆さま、ありがとうございました!
皆さまの未来の介護への熱い想いとホームの変革がとても強く感じられました。
これからもラヴィーレ二子玉川の好循環サイクルが続くよう、応援しています!